螺旋愛
すると駿は悪戯っぽく笑うと俺に手を振ってきた。

駿とは当分話していないし、その笑顔の意味がわからなくて俺はその場で固まったままだった。

すると駿は会場から出て行ってしまった。




俺はそれから後悔した。
どうして手を振り返せなかったんだろう・・・・。
今までの俺だったら笑顔で振り返していただろう。
いつからこんなになってしまったんだろう?



そんなことをずっと考えていると試合が始まってしまった。
相手は俺よりだいぶ格下の相手だった。
俺は中学生の頃から剣道をやっていて、県大会や大きな試合で何度も優秀な成績を残してきて、それなりに名前も有名だった。


俺は試合中もそのことが頭から離れなかった。
ハッと気付いたときにはもう俺の顔の前に竹刀が振り降ろされていた。



俺は負けた。



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