螺旋愛
「ったく・・・うるせーな。・・・目覚めたか?」
駿は優しくそう言った。
「え・・・うん。」


そう言う駿は上半身裸でタオルで頭をふいていた。
きっとシャワーでも浴びてきたのだろう。
髪から滴れ落ちるしずくとその体はなんだか昔の駿とは違って・・・

男の人なんだ・・・って初めて思った。




ごつごつした大きな手。
髪から落ちる水のしずく。
がっしりした胸。
広い肩幅。


あたしの知らない駿―・・・・・
目が離せなくなった。



「何見てんの?」
駿がからかうように言った。
「キレーな体してるなって思って。」
あたしは駿の前だと素直になれる。

駿はあたしにとって兄弟みたいな関係で、こんなことでもさらっと言ってしまうのだ。



「ばか。」
そう言うと駿は手で顔を覆うと笑った。
昔からの駿のクセ。


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