螺旋愛
「俺は、好きじゃない女としか付き合わない。」
そう言うと切なそうに笑った。



あたしは駿の考えていることがわからなかった。
そしてなんであんな怖い目をしたのかもわからなかった。


ただ、わからなくてその場に立ち尽くした。



駿はあたしの横に腰を下ろした。
そしてあたしに顔を近づけると優しく微笑んだ。
でも・・・すぐにその顔は切ない笑顔になった。


なんでいつもこんな悲しそうに笑うんだろう・・・?
いつからだっけ・・・駿がこんな表情をするようになったのは・・・。



「しゅ・・・ん・・。」
「ん?」
「あたし・・・帰んなきゃ・・・。」
あたしは恐る恐る言った。

「ああ。悠来が一人なんだもんな。」
駿はあっさり許してくれた。


「じゃあね。」
「おう。」
あたしは小走りで駿の家を出た。

駿の家も離婚してお父さんがいない。
お姉ちゃんと駿とお母さんの3人暮らしだ。
だから誰にも見つかることなく外に出ることができた。


外に出ると寒さが体に突き刺さった。
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