螺旋愛
多分啓太の応援に来ていたんだろう。

綾香は俺の存在にまだ気付いてないらしく、啓太のカバンから何かを取り出した。


・・・?
何してんだろ?


綾香は啓太の生徒手帳をじっと見つめていた。


俺はわざとドアを大きな音をたてて開いた。
すると綾香は慌てて生徒手帳を隠した。



俺は綾香をからかった。
すると綾香は慌てて弁解した。
そんな姿を見ているとなんだか無性にいじめたくなった。
いつもの気まぐれだ。


俺は無理やり綾香にキスした。
綾香がファーストキスだということも、啓太を好きだということも、全て知っているのにキスした。

俺って最低。


ちょっと遊ぶだけのつもりだったのに余計苦しくなってしまった。
馬鹿だな、俺。


俺は泣きじゃくる綾香を置いて控え室から出た。
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