螺旋愛
しばらくすると、美加から電話がかかった。
瑠来は気を使って帰ろうとした。


俺は思わず瑠来の手を引いた。
「帰んなくていーから。」


もっとそばにいたい。
瑠来を俺だけのものにしていたい。
離れたくない。

俺のそんな汚い心が瑠来を引き止めた。


瑠来がそばにいてくれるなら彼女なんていらない。
俺はそう思い、おもむろに美加の電話に出た。


瑠来は驚いて唖然としている。


俺は一方的に美加に別れを告げた。

「なんでそんなに簡単に別れられるの!?そんな軽い気持ちで・・・っ!!」
瑠来の言葉は俺の心の奥の奥に突き刺さった。


苦しくなって、俺は気付いたら今まで瑠来には見せたことのない表情をしていた。
疎ましい奴にしかしない冷酷な視線・・・。
それを瑠来に浴びせていた。
無意識だった。


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