心に悪夢を潜ませ

 「…あの」

 「はい?」

 振り返った二人が私を見るなり顔を見合わせ、顔全体を覆うフードをおろした。

 漆黒の髪に白い包帯で目元を覆った人は杖をしまい小さく頭を下げた。

 「エカイユと申します。こちらはライヒェ。あなたがこの村の魔法使いですね」

 「はい、シャンスといいます。あの…どうして」

 早すぎないかと疑問に思った、昨日の今日だ。

 そんなに早く情報がいくだろうか。

 崩壊状態の村はすでにほとんど直されている。

 エカイユさんは口元を手で隠し、嘆かわしいと呟いた。

 「話は聞いています。西の野蛮な剣を携えた者の仕業だと。そこで王が緊急措置体制をとり、損壊した家屋や村を直して回っているのです」

 有難いと観衆から歓声があがるが、まだ納得できない。

 
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