心に悪夢を潜ませ
「ただのじゃない。田舎者だろうがなんだろうが魔法使いなら王の味方か敵かのどちらかしかない」
ライヒェさんの断言にはますます意味がわからなくなる。
敵か味方か、選べという。
「…もしかして、本当にわかっていないのですか?」
「おそらく」
「まじで田舎者じゃん」
ライヒェさんに先程から恐ろしい程に罵倒されながらも頷けば、エカイユさんがライヒェさんに杖を下げるように言った。
「…知らないのなら謝ります。私達は王より命を受け今各地を回り仲間を探しているんです」
「魔法使いの仲間ね。お前みたいな弱い田舎者でも仕方なしにね」
「…魔法使いは南の国の象徴。近い戦いの日に備え王の手となり足となる者を集めるために、こうして魔法使いの下へ派遣され意思を確認して回っているんです」
「…味方なら戦いに参加しろということですか?」
「…いいえ、そうではありません。魔法使いには大きく分けて三パターンあり、戦いに参加していただける方、これは王も国を守るため是非にと言われています。傍観する方、あくまでも関わらない、邪魔をしない。敵国に寝返らないものです」