心に悪夢を潜ませ

 もしかしたら起き上がってくるのではないかと思ったわ

 ずっとついていたかった。

 でも。イタイ ハ クヨウ しなければならない。とお医者様が言うから。

 ルヒルはシタイと呼ばれ、火葬の際はイタイと呼ばれた。

 もう誰も、ルヒルの身体をルヒルと呼ばなかった。

 ルヒルの身体は骨となり、土に埋められた。

 その上に石が立ち、それは墓石と呼ばれルヒルの名前が刻まれ、また皆それをルヒルと呼んだ。

 もう誰もイタイやシタイとは呼ばなかった。

 これが死ぬということ。

 「…ルヒル…」


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