【壁ドン企画】密楽遊戯


「んぅ…ちょ、ん、もっやめ…」

合わせるだけの口付けで終わるはずもなく、舌を絡め濃厚なそれに変わる。
どう考えたって“ちょっとちゅー”のレベルじゃない。
抵抗の言葉も虚しく、好き勝手に口内を動き回る。

腕を掴んでいた彼の左手が下へと下がり、タイトスカートの中に入り込もうとしたとき。
持っていたファイルで思いっきり頭を叩いた。


「いってえ!なにすんだよ!」

「それはこっちのセリフ!どこまでするつまりよ、ここ会社!勤務中!」

「なんだよ、お前から言い出したんだろ!」

今じゃないし!!
時と場所を弁えろこのサル!

まぁ楽しんだからいーや、ととっとと出て行こうとする。
本当にこのためだけに来たの、あの馬鹿。

ガラス棚に写る自分の顔を見つめ、はっとする。まぎれもなく“女”の顔だ。

なによ、遊佐のくせにちょっとドキっしちゃったじゃないか。
壁ドンに虜になる女子の気持ちが少し分かった気がした。


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