重い想われ 降り振られ
最近社内で真理子の姿を見なくなった現状に、橘はイライラしていた。

携帯にも出ないし、明らかに避けられてる事に気付いていた。

原因はどう考えても、橘自身にある。

仕事帰りに遠藤を捕まえ、強引に自宅に連れ込みグチをこぼした。

「菜奈ちゃんが橘の事を好きだったなんてびっくりだなぁ。
菜奈ちゃんかわいいし、積極的だよね。」

橘は先日菜奈から強引にキスされた現場を、真理子に見られた事だけを話した。

さすがに強引に真理子を再び襲った、などとは口が裂けても言えなかった。

「橘はさぁ。香田さんの事、諦められないの?」

遠藤の問いに「はぁ?」と橘は答えた。

「本気で香田さんの事が好きなら・・・。香田さんの事を思うと・・・。
香田さんには小林の方がいいと思う。」

橘は飲み干した缶ビールをぐしゃりと握り潰し、床に叩きつけた。

「こんな事言うと、さらにキレさせちゃうかもだけど・・・
今の橘は、香田さんを幸せに出来るとは思えないよ。」

遠藤は真っ直ぐに橘を見た。
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