重い想われ 降り振られ
松田はポケットから煙草を取りだし、銜えて火を付けた。

ふぅっと煙を吐きながら、空を見上げる。

「下の喫煙所がいっぱいな時は、屋上来るんよ。」

「そうだったんですか。私は・・・事務は一日中室内なんで
天気のいい日くらいは外に出ないとダメかなって思って。
最近になって屋上デビューしました。」

松田は軽く笑って煙を吐いた。

「アンタって、結局どっちが好きなの?」

唐突な質問に、真理子は面喰う。

「どっち・・・って?」

「橘か小林かって事。アンタ橘と寝たんだろ?」

がばっと真理子は立ち上がって、その場から離れようとする。

松田はすかさず真理子の手を掴み、引き留める。

「おいおい何で逃げんの。子供じゃあるまいし、一晩過ごしたってだけの話だろ?」

「どうして知ってるんですか?」

真理子は諦めてその場に留まった。
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