重い想われ 降り振られ
「ええっ!12回もフラれたんですかっ。」

『逆にちょっと引くかも・・・。』

それだけフラれても、あきらめない松田にちょっと引く真理子。

「だってさぁ、菜奈ちゃんが橘にフラれるのは分かりきってるし、
そこはあきらめられんだろっ。あわよくば・・・ってなるさ。本気だしな。」

「でも菜奈ちゃんが橘さんにフラれるって、決まってるわけじゃ無いと思うけど。」

松田は手を左右に動かし、飽きれ顔で言う。

「いやいや。橘見てれば分かるって。まったくその気無いよ、菜奈ちゃんには。」

真理子の脳裏に、先日目撃した二人のキスが浮かぶ。

『相手が本気の場合は手を出さないって、付き合ってるんじゃなかったの?
橘さんがその気無くても、菜奈ちゃんは本気だと思う。なのに何故?』

真理子は困惑した。

「まぁ橘は誤解されやすい奴だしな。あんたが小林にするか、橘にするか、
はたまた両方断るのかは知らんけど、本気で来てる相手にはちゃんと向き合って
答えを出してやる必要があるんじゃねぇの。」

松田は煙草の火を消し携帯灰皿に入れると、社内に戻って行った。
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