重い想われ 降り振られ
小林は仕事を終え会社を出て、歩いて10分ほどの所にある公園に向かった。

久しぶりの橘からの誘いなのだが、飲みに行くという誘いでは無さそうだ。

待ち合わせ場所が駅や会社前とかでは無く、公園というのは初めてだった。

オフィス街にあるせいか遊具などは無く、緑に囲まれベンチが置かれただけの
小さな公園だ。

街灯の下のベンチで、橘が缶コーヒーを飲んでいる姿が見える。

「橘。何?珍しい所に呼び出して。どうせなら居酒屋でも行こうか?」

小林が声を掛けると、橘はすぐに気が付き立ち上がった。

「悪いな。今、営業忙しいのに時間取らせて。」

橘は持っていた新しい缶コーヒーを小林に手渡した。

「らしくないね。何かあった?」

カコンと缶の蓋を開け、冷たいコーヒーに口をつけた。

小林は橘の隣に座り、オフィス街を見上げた。

「マジメな話をしようと思って・・・。」

橘は座ったまま、自分の足元に目線を落とす。

「俺は・・・香田の事が・・・。」
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