重い想われ 降り振られ
「好きなんでしょ?」

橘の言葉の先を、小林が口にした。

びっくりした表情で、橘は小林を見る。

「気付いていたよ。最初はまさかっ・・・て思ったけど、
確信したのは、香田さんの見舞いに橘が付いてきた辺りかな。」

「そっか・・・。」

「わざわざ直接言いに来るって事は、やっぱり橘も本気なんだ?」

だまって橘は頷いた。

「僕らって付き合い長いじゃない?中学の頃から・・・クラスが離れても、
大学生になって別々の学校になっても、疎遠にならずずっと一緒に居たからね。
高一の夏に、橘が真剣に話をしに来た時の事を思い出すよ。
大人になったら、二人で絶対に夢を叶えるって。あの時の約束のために、
僕達はずっと一緒にやって行こうって決めた。あの夏の日みたいだね。」

小林は静かに話を続ける。

「橘が本気なのは分かる。だけど僕も本気なんだ。これだけは、譲れない。」

「俺も譲る気は無い。話はこれだけだ。」
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