重い想われ 降り振られ
残業で会社に残っていた真理子は、業務を終えて帰り支度をしていた。

「香田さん、ゴハンでも食べて帰らない?」

小林が真理子に声を掛けた。

「今日はこのまま、まっすぐ家に帰りたいので・・・。」

「いいからいいから。ちょっとだけだよ。」

小林は真理子の鞄を手に取り、先に行ってしまった。

『ええっ。小林さん、何を考えて・・・。』

真理子は慌てて小林を追いかけた。

会社傍の洋食屋に入った小林の後に続いて、真理子も店内に入った。

奥のボックス席に座り、小林が真理子に向かって手を振る。

席に真理子が座ると、小林がメニュー表を手渡してきた。

「今日も暑かったねぇ。こんだけ暑い日が続くと食欲も無くなっちゃうけど
ちゃんと食べないと持たないからね。」

メニューを見ながら真理子が何を頼むか悩んでいると、それを見ていた小林は
真理子からメニュー表を取り上げ、とっとと注文を済ませてしまった。

運ばれてきていた水の入ったグラスの氷が溶け、カラカランと音を立てた。
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