重い想われ 降り振られ
「小林さん、どうして・・・。」

小林は菜奈と同様に、真理子の変化に気付いていた。

真っ赤になった真理子の目は、メガネをかけていても見えていた。

「夏バテでもしてそうだったからね。」

小林はあえてその事には触れず、真理子を気遣った。

真理子もまた、小林に気付かれてる事に気付いた。

隠しておくわけにもいかないと、真理子は口を開いた。

「今日、橘さんに告白されたんです。」

「そう。」

小林は、何も聞き返さなかった。

「橘ね、昨日僕の所にも来たよ。」

ウエイターが料理を運んできて、テーブルに並べる。

それに合わせるかのように、小林は言葉を慎んだ。

「冷めちゃう前にいただこう。」

小林が美味しいと進めるスパゲッティに、真理子も手をつけた。

ミートソースのほどよい味が、真理子に空腹を思い出させていた。
< 117 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop