重い想われ 降り振られ
二人は食べ終わり店を出て、駅まで歩いた。

「あのね。決めるのは香田さん自身の心だよ。」

駅が見えてきた頃に、小林は話し出した。

「だけど僕は、君を大事にするよ。辛い涙なんて流させないから。
香田さんがどんな答えを出しても、それは変わらないから。」

小林の言葉が、真理子の心に響く。

染み渡るかのように浸透し、また泣きそうになった。

「辛い時や悲しい事があったら、一人で悩まず僕の所においで。
僕はいつだって香田さんの事を待っているから。」

小林は立ち止まり、真理子の額に唇を当てた。

ぎゅっと抱きしめ、すぐに解放した。

「気をつけて帰るんだよ。」

小林は手を振り、その場を離れた。

小林の背中を見送りながら、真理子は苦しい胸を押さえていた。
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