重い想われ 降り振られ
会社のコピー室で真理子と菜奈は、会議用の書類を準備していた。

菜奈が人数分コピーして、真理子は横でファイルにして閉じていく。

菜奈がコピー機を操作しながら、突然真理子に声をかける。

「何で断ったりしたの?」

真理子は手を止め、菜奈を見る。

「橘さんに、告白されたんでしょ。」

菜奈は手を止めない。

真理子を見ようともせずに、作業を続けていた。

こんな時、真理子は何と言えばいいのか迷った。

「私には橘さんみたいなスゴイ人とは釣り合わないよ。」

気まずい空気を何とかしようと、真理子は笑って答えた。

菜奈も、それ以上は何も訊ねてきたりしなかった。

菜奈は迷っていた。

自分の中で、どうするべきなのかと。

だが、どうしても黒い気持ちが勝ってしまう。

真理子を目の前にすると、どうしようもなく黒く染まってしまうのだった。
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