重い想われ 降り振られ
その日、遠藤はひどく不安に駆られていた。

昨夜、とある会員サイトの書き込みを見ていたからだった。

焦る気持ちを抑えつつ、業務を終わらせて会社を急いで出た。

定時を少し過ぎてしまい、慌てて真理子を探した。

会社から出て、少し歩いた所で真理子の後ろ姿を発見できた。

女性に呼び止められているようで、真理子は少し戸惑った様子だ。

話かけている女性の後ろ姿に、遠藤は心当たりがあった。

『あの子は、たしか・・・。』

女性に促され、真理子は黒いワゴン車に近づく。

ワゴン車の後部座席から幾つかの手が伸び、背中から女性が真理子を押し込める。

一瞬の出来事だった。

ワゴン車に近づいた一瞬で、真理子は車内に引きづり込まれたのだ。

遠藤はすぐに通りかかったタクシーを止め、ワゴン車を追った。

携帯を取り出し、橘に連絡する。

「橘!まずい事になった。香田さんが無理やり連れていかれた!」

遠藤からの連絡に、橘は残っていた業務を放り出し、会社を飛び出た。
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