重い想われ 降り振られ
昨夜閉鎖予定のサイトに、新たな会員が参加した。

ハンドルネームは“華”。

挨拶も紹介もせずに最新の書き込みは、その“華”と言う人物の“決行。”
という二文字で終わっていた。

それを見ていた遠藤は、これが合図だと確信していた。

遠藤の乗るタクシーの数メートル先を走る黒いワゴン車は、
街外れの廃ビルの前に停車した。

遠藤はタクシーの運転手に指示し、ワゴン車の横を通りすぎ、
一つ目の角を曲がった所で停車するように言った。

すぐにタクシーを降り、影からワゴン車を確認する。

通行人も無く薄暗い路上に、真理子の姿を確認した。

ガムテープで口を閉じられ、後ろ手にもガムテープが巻き付けられていた。

車から蹴飛ばされ、路上に転がり出る。

それを見ていた女の一人が、ケラケラと笑う。

「こんだけデブだと、普通に降りるより転がった方が早いんだね!」

男が三人続けて降り、真理子を無理やり立たせ廃ビルに連れ込んで行った。
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