重い想われ 降り振られ
容赦なく橘は蹴り上げ、倒れた男の顔を踏みつけた。

鋭い刃物のように光る橘の目に、女達は恐怖し硬直したままだ。

遠藤は着ていた上着を脱ぎ真理子に掛けると、そっと抱き起こした。

口や手を拘束していたガムテープを剥がし、上着に腕を通させた。

そこにバイクを停めに行っていた松田が入ってくる。

「えっー!もう片づけちゃったの?」

「暴れてぇなら、奥に残してある。」

橘が女達を指し、冷たく吐き捨てる。

「女には手をあげないのが信条なの。」

松田がスネて見せる。

「普段なら俺も同意見なんだがな・・・。」

橘は松田を見て言った。

「それよりも橘。早く香田さん病院に連れていかないと、結構酷い怪我してる。」

真理子を抱えながら遠藤は少し焦った。

「ここの近くに僕の知り合いの個人病院があるから、
橘はすぐに香田さん運んで!松田はタクシー拾ってきて!」
< 128 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop