重い想われ 降り振られ
『俺は使いっぱしりかよっ』とスネながらも、
松田は急いでタクシーを捕まえに表に出た。

橘は着ていた上着を真理子の頭に被せ、真理子を抱えた。

「やっかい事はゴメンだからね。僕から先に連絡入れとく。」

遠藤はすぐに病院の場所をメモし、橘に渡した。

「こっちの事は僕と松田で処理しとくよ。あとで連絡する。」

遠藤が早口で言い終わると、ちょうど松田も「捕まえたぞー。」と
入口から顔を出して知らせた。

橘は真理子を背負い、タクシーに乗り込んだ。

松田は二人が乗ったタクシーを見送り、再び廃ビルに戻った。

遠藤は病院に連絡を入れ終えたところだった。

携帯をしまい、床に転がっていたガムテープを拾い松田に投げて渡した。

「その転がってる人達の、手と足を拘束しといて。」

松田は「へいへい。」と遠藤に言われた通り、男達の手足にテープを巻いた。

遠藤は黙って固まったままの女達の前に行き、声をかけた。

「気持ちは分かるけど・・・少しやりすぎたね、遙香ちゃん。」
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