重い想われ 降り振られ
「肋骨にヒビが入っているのと、左足首は捻挫ですね。腹部はひどい打撲でしたが、
内臓系には影響なかったみたいですね。後は所々に打身や打撲はありますが
それほど深刻な怪我は無かったようです。2~3日は動けないでしょうが、
すぐによくなると思います。肋骨の方は1か月位で完治します。」

少し頭が薄くなりかけている、小柄な医師が橘に怪我の説明をした。

真理子は処置を終え、隣で看護婦に顔や腕の汚れを拭いてもらっていた。

「あぁ。今夜は怪我の影響で、少し熱が出ると思います。」

橘の視線に気が付き、医師は付け加えた。

先に薬局で痛み止めや湿布を受け取り、橘は玄関で真理子を待った。

真理子はゆっくりと、自分で歩いて出てきた。

橘がすぐに駆け寄り真理子に手を貸そうとしたが、真理子はそれを断った。

病院を出て、通りに向かって歩く。

「無理するなって!」

よろけて転びそうになった真理子を支え、橘は言った。

「・・・ないで・・・。ついて、こないで。」

真理子は橘の手を再び拒否した。
< 131 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop