重い想われ 降り振られ
遠藤は小林の立場や橘の口下手に配慮して、菜奈の事を引き受けた。

橘は例の問題のサイトについて、管理人への閉鎖要請と
会員達に言いたい事をまとめた書き込みを、遠藤にお願いした。

遠藤は快く承諾し、松田を連れて先に帰っていった。

残った小林は、橘に話かけた。

「香田さんはどうするつもり?」

「怪我が治るまでは、ここで面倒見させてもらう。」

即答する橘に、小林は「そう言うと思ったよ。」と笑った。

「なら香田さんが居る間、僕もここに通うよ。橘は料理とかできないからね。」

橘は小林に部屋のスペアキーを渡した。

「明日の朝、出勤前に様子見にくるよ。」

そう言って、小林も橘の部屋を後にした。

リビングのソファーに横たわり、橘は思い出したかのように携帯を取りだした。

同じ課の同僚にメッセージを送った。

今日やりかけだった書類の引き継ぎと、明日は出勤できない事を伝えた。

携帯を閉じると、寝室から大きな物音がした。
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