重い想われ 降り振られ
届かない想いの行方
三度目の二人の朝。

だけど今朝は違う、特別な朝だった。

満たされた充実感が、繋いだままの手から伝わる。

眠ったままの橘の顔は、少し頬が赤く腫れている。

昨夜あんなに怖い思いをしたはずなのに、真理子は幸せを感じている。

橘の黒く艶やかな髪が揺れるのを、真理子はじっと見ていた。

ブーンブーンと携帯の揺れる音が、静かな寝室に響いた。

橘は「う~ん。」と唸りながら手を伸ばす。

サイドテーブルの携帯を掴み、確認する。

大きなアクビをして、真理子を見ると「おはよ。」と声をかけた。

橘は真理子の体を引き寄せ、腕の中に納めてキスをした。。

「ずっとこうしていたいな。」

橘の胸に頬を付け、真理子は心臓の鼓動を聞いた。

厚くゴツゴツした橘の胸は心地よい。

「小林がもうちょっとしたら、朝飯作りに来るってよ。」

真理子はがばっと橘から離れ、顔を上げた。
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