重い想われ 降り振られ
菜奈の異変に気付き、遠藤は慌てて菜奈に駆け寄った。

「どうしたの!菜奈ちゃん?」

真っ青な顔をして何も答えない菜奈を見て、遠藤は人を呼びに廊下に出た。

そこへちょうど出社してきたばかりの小林を見つけた。

「小林!」

遠藤が小林を呼び止めて、事情を説明した。

小林は菜奈の様子を見て確認した後、すぐにタクシーを手配する。

救急車を呼ぼうとしたところ、菜奈が嫌がったのだ。

遠藤は菜奈を背負い会社を出て、小林の呼んだタクシーに乗せた。

「僕が付き添うから、小林は後の事頼むよ。」

タクシーに乗りながら、遠藤は小林に言った。

小林は心配そうに見送った後、会社に戻った。

病院に着いた菜奈はすぐに診察室に通され、遠藤は待合室に取り残された。

不安を抱えつつ30分後、やっと診察室から声が掛った。

「軽い貧血とつわりですね。」

医師に言われ、遠藤はびっくりしてイスから転げ落ちそうになった。
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