重い想われ 降り振られ
「遙香さんは、少し脅すだけだからって言ってたの。
私も真理ちゃんが少し怖い思いをすればいいと思ってたのは事実だけど、
まさかそんな酷い事するなんて思ってなかった。」

菜奈は「信じて!」と遠藤の手を握った。

遠藤は頷いて優しく笑った。

「香田さんも橘も、僕から見れば不器用すぎて笑っちゃうんだけどね。
橘は伝えるの下手だし、香田さんは想われてる事に鈍感だし・・・。
でも人間の感情や気持ちって、予想通りに行かないものじゃない?
自分自身だって解らない時もあるしさ。香田さんだって悩んでいたよ。
僕は、香田さんはもっと我儘でいいと思うし、
橘は女の子の気持ちを、もっと理解しないといけないと思うんだよね。」

遠藤の言葉に菜奈は静かに目を伏せ、天井を見上げた。

「私、本当はもしかしたら・・・って気付いていたんですよ。」

菜奈はそう言いながら、お腹をさすった。

「それで焦っちゃって。結局橘さんとは結ばれない運命だったんですよね。
松田さんだって、今更迷惑だろうし。」
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