重い想われ 降り振られ
菜奈を家まで送り会社に戻った遠藤は、すぐに業務に取り掛かった。

松田に一応メールは送っておいたが、仕事中なのだろう返事は無い。

休憩に外回りから戻ってきた松田を捕まえ、屋上に連れ出した。

「なんだよ遠藤。菜奈ちゃんは貧血だったんだろ?」

菜奈が妊娠している事を勝手に報告するわけにもいかず、
会社には貧血で倒れたとだけ告げた。

「そう、貧血とつわり。」

「大した事なくてよかったじゃん。貧血とつわりなら・・・?・・・!?
えええええええっーーー!」

松田は驚きのあまり、火を付けたばかりの煙草を落としてしまう。

慌てて携帯を確認するが、菜奈からの連絡は無い。

「でもあれだよ?菜奈ちゃんからそんな話は聞いてないよ?」

遠藤はやれやれと、飽きれた顔で松田に言う。

「ちゃんと診断されて知ったのは今日なの。それに菜奈ちゃんの立場を考えると、
あんな事があったばっかりだし、言いづらいだろうね。」

松田はくしゃくしゃと頭を掻いて座り込んだ。
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