重い想われ 降り振られ
「俺正直、今日菜奈ちゃんと顔を合わせづらいなって思ってたんだよな。
橘に振られるの期待してたんだけどさ、いざそうなってみたら
やっぱ俺も相当キツくてさ。菜奈ちゃんが悲しんだり苦しんでるところなんて
見たくなかったなって。しかも俺、それを望んでたんだぜ?」

落ち込む松田に、遠藤は何も言わなかった。

「菜奈ちゃんに俺から掛けられる言葉が見つかんねぇの。
サイテーだよな。なんか、どう言っても詭弁にしかならねぇよ。」

「だからって、ほっとく訳にもいかないんじゃない?
これからどうするかは二人で決めないといけない問題じゃないの?
それにさ菜奈ちゃんの不幸を願ったのも、悲しい顔見たくないってのも
菜奈ちゃんが好きだったからこその気持ちでしょ?
ここは変に偽善者ぶらないで、そのまま貫き通すところでしょ。」

松田が新しい煙草を取りだし、火を付けようとライターを取り出すと、
遠藤がライターを取り上げ、松田の銜えた煙草に火を付けた。

「立ち止まるな!ここは失敗してもカッコ悪くても卑怯でも進むところだよ。」

遠藤はバシっと松田の背中を叩いた。
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