重い想われ 降り振られ
遠藤に背中を押され、松田は会社を飛び出した。

まっすぐ菜奈のアパートに向かったのだ。

全速力で走り、電車に飛び乗った。

『くそっ、今日もバイクで出社すればよかったな。』

はぁはぁと息を切らし、閉まっているドアに寄りかかった。

駅に着くと再び改札を抜け、走り出した。

菜奈の住むアパートに着き、玄関チャイムを鳴らした。

「はーい。」

菜奈が扉の向こうから答える。

「菜奈ちゃん。俺、松田だけど開けてくれる?」

走ってきたせいで全身汗だくになりながら、松田は声を掛けた。

カチャンと鍵を解除する音の後、扉が開いた。

少し驚いた表情の菜奈が顔を出す。

「どうして・・・。」

菜奈が呟いた。

「菜奈ちゃん!何もかもすっ飛ばして突然だけどさ、結婚しよう!」
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