重い想われ 降り振られ
「ちょっと!こんな所で・・・しかも声大きいです。とにかく中に入って下さい。」

松田の腕を掴んで、菜奈はぎょっとした。

掴んだ腕が、汗で少し滑った。

松田を部屋に上げ、玄関の扉を閉めた。

キッチンの冷蔵庫から氷とお茶を出し、グラスに注いで松田に渡した。

松田はグラスを受け取り、一気に飲み干した。

「おかわり欲しかったら、どうぞ。」
と菜奈はお茶の入ったボトルごと松田に手渡した。

「あっ・・・ありがとう。」

受け取ったボトルからお茶をグラスに注ぎながら、松田は『あれ?』と思う。

「あの・・・菜奈ちゃん?俺は・・・。」

「遠藤さんから話しを聞いて来たんでしょ?昨夜の事も知ってるんでしょ?
なら、私がどう返事するかぐらい分かりますよね?」

菜奈はベットに腰掛け、松田を見た。

「全て解ってる。菜奈ちゃんが橘を好きなように、俺も菜奈ちゃんが好きだし、
香田が橘に振られるの期待してんのと同じで、俺も振られるの期待してた。」
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