重い想われ 降り振られ
小林は手早く片付けを終え、帰り支度を始めた。

「橘が酔いつぶれるなんて、めずらしい事なんだよ。」

玄関に向かう途中で、思い出したかのように小林が呟いた。

「そうなんですか?」

真理子が聞き返すと
「普段外では酔いつぶれたりしないね。それこそ遠藤や松田の前では絶対無いね。
昔僕と宅飲みで数回あっただけかも?」

「橘さんって、警戒心が強いのかな?」

真理子が言うと、小林は「そうかもしれないね。」と笑った。

「今日は本当にありがとうございました。気をつけて帰ってくださいね。」

真理子は小林を見送り、玄関の扉を閉めた。

橘をなんとか起こしベットに寝かせた後、真理子は自分の携帯を取りだし、
菜奈にメールを送った。

時刻は深夜の11時をすぎたところだった。

“遅くにごめんなさい。体、大丈夫?あまり無理しちゃだめだよ。”

返信は期待せずに送ったのだが、すぐに返事が返ってきた。
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