重い想われ 降り振られ
窓から眩しい光が差し込む頃、寝室の外からガタガタと音がし出した。

『男の人の部屋に泊まる日がくるなんて、思わなかったなぁ』

正直なところ緊張してしまって、あれから真理子は一睡もしてなかった。

寝室を出ると、小林がキッチンでコーヒーを入れていた。

「おはようございます。」

真理子が声を掛けると「一緒にどう?」と、小林がカップを差し出した。

「よく眠れた?」

「はい。」

小さな嘘を、真理子は口に出した。

「小林さんは、やっぱりずっと本を読んでいたんですか?」

小林はにこっとうなずいた。

「これ飲んだら、駅まで送っていくよ。」

空になったカップを小林が受け取り、流し台に置いた。

真理子は寝室に荷物をとりに戻った。

二人で玄関を出て、鍵を閉めてマンションの階段を下りた。

週末の早朝で、人気のない街。
< 17 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop