重い想われ 降り振られ
朝の光が部屋に差し込み、鳥のさえずる声がする。

目を覚ました真理子の目の前には、橘の顔が横たわっていた。

『あれ!橘さん?』

真理子は状況が掴めず、部屋を見回した。

どう考えてもここは昨夜小林が一緒だったホテルの一室だ。

半分開け放たれたままのカーテンの間からは、青々とした海が見える。

昨夜は風も強く波も荒々しかったのだが、今朝は穏やかに打ち寄せている。

真理子はしばらくの間、ぼーっと窓から見える海をベットの上から眺めていた。

すると橘も目が覚めたらしく、起き上がった。

ぽりぽりと頭を掻き、真理子に「よぉ。」と声を掛けた。

「おっ・・・おはようございます。」

慌てて真理子は答えた。

状況が把握できていない様子の真理子に、橘は言う。

「小林なら昨夜帰ったぞ。」

「あの・・・私・・・。」

真理子が話し出すと、橘は遮って真理子を抱きしめた。
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