重い想われ 降り振られ
すっかり太陽も沈んでしまい、公園内は闇に覆われていた。

街灯が辺りを照らし出している。

橘は真理子の手を握ったまま「帰ろう。」と手を引いた。

真理子は頷き、無言のまま橘に手を引かれ公園の出口に向かった。

ざざざっと公園内の木立ちがざわめき、強風が吹いた。

「優斗!」

手を繋ぐ二人の前に、恵子が飛び出した。

真理子には見たことも無い女性だが、橘には見知った顔だ。

だが橘の知っている恵子とは、少し雰囲気が違った。

やつれて目つきも悪く、顔色も悪い。

何よりも手にしているのは、果物ナイフだった。

刃先が鋭く尖り、街灯の明かりを反射していた。

「どうして・・・どうしてなの?ずっと一緒に居てくれると思ってたのに・・・
その女のせいなの?そんなにその女が大事なの?」

恵子が呟きながら風を切り、走り寄ってくる。

鋭い刃先を向けたまま。
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