重い想われ 降り振られ
溶ける紅
橘の姉の静華は、弟の姿を求め公園の前まで来ていた。

真理子の悲鳴に気付き、慌てて公園の中に入った。

そこで見た弟の姿に怯み一瞬立ち尽くしたが、すぐに携帯で救急車を呼んだ。

必死に橘を呼び続ける真理子を引き離し、橘の傷を確認する。

刺さったままのナイフをそのままに、上着を脱ぎ橘の体にきつく縛った。

「しっかりしなさい!」

静華に怒鳴られ真理子は我に返り、真理子も上着を脱ぎ止血のために傷を抑えた。

降り出した雨に濡れ、みるみる止血に使った服が赤く染まる。

真理子は橘の頭を膝の上に置き、雨が少しでもかからぬように体で覆った。

真理子と静華が応急処置をしているのを眺めながら、恵子はブルブルと震えだした。

少しづつ後ずさりしながら、その場から離れようとしていた。

静華が恵子に気付き、目が合った瞬間恵子は背を向け逃げようとしたが、
静華はそれを許さなかった。

恵子の濡れた髪を鷲掴み、おもいっきり手前に引いた。

「これだけの事をしにきたんだ、腹括ってきてんだろっ!
今更ジタバタすんじゃないよ!大人しく待ってろ。」
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