重い想われ 降り振られ
静華の迫力のある怒声に、恵子はその場に座り込み泣き出していた。

サイレンの音と共に、赤いランプが近づいて来た。

救急車が停まり隊員が橘の元に駆けつけてきた。

すぐに担架に乗せ、救急車に運び込まれた。

警察も駆けつけその場を封鎖し、恵子はパトカーに乗せられた。

真理子と静華は橘に付き添い、事情聴取は病院で行う事になった。

大量の出血のためか、橘は病院に着いてからも意識が無いままだった。

処置室の扉の奥に運び込まれた橘を、真理子は見送った。

看護婦がずぶ濡れの二人を見て、毛布を持ってきた。

今頃になって寒さに気付いてか、それとも恐怖にか・・・真理子は震えていた。

静華が実家に連絡をしてくるとその場を離れ、真理子も小林に連絡を入れた。

小林は「すぐに行くよ。」と慌てて電話を切った。

連絡を終え待合室で待っている間に、警察官が事情を聞きに訪れた。

事情を説明し終えると、ちょうど小林が駆けつけてきた。

真理子の真っ青な顔を見て、小林は真理子を抱きしめた。

「大丈夫。橘はこんな事でどうにかなってしまうような男じゃないよ。」
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