重い想われ 降り振られ
「様子はどうなの?」

遠藤が訊ねる。

動揺が収まらない真理子の変わりに、小林が答えた。

「まだ処置室から出てきてないから、様子はちょっと分からないね。」

そこへ静華が戻ってきた。

「あら、遠藤君に松田君じゃない?ひさしぶりねぇ。」

陽気に声を掛けた。

「橘、そうとうヤバイんですか?」

松田が聞くと、静華は笑って答えた。

「刺さったのは小さい果物ナイフだし、場所も脇腹だからねぇ。
致命傷では無いわよ。出血が多く見えたけど、雨の中だったしねぇ。」

真理子とは正反対に、明るく答えた。

「まさか恵子ちゃんがこんな事するとは、まったく予想しなかったよ。」

遠藤が呟くと、静華は表情を曇らせ
「あの子も馬鹿よね。こんな事で人生棒に振るなんて。
男なんて腐るほどいるって言うのにねぇ。まぁ、恋は盲目とも言うけどね。」
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