重い想われ 降り振られ
静華が言ったように、橘の容体はそれほど深刻では無かった。

処置室から出てきた橘は、意識は回復していなかったが命に別状はなく、
二週間ほどで退院できるだろうと、担当した医師が告げた。

病室に運ばれた橘を見届け、静華は小林達にお願いをした。

「ちょっと着替えをしに、弟のマンションに一旦戻りたいのよ。
その間だけ誰か付き添っててくれない?」

すると遠藤と松田が残ると答えた。

「それじゃあ僕が二人を送って行くよ。」
と小林が静華と真理子を送る事になった。

小林は以前に借りていた橘の部屋の鍵を静華に渡し、マンションの前まで
車で送り届けた。

次に小林は真理子のアパートに向かった。

車から降りる真理子を、小林は呼び止めた。

「一人で大丈夫?よかったら家に来てもいいんだよ。」

小林はここで真理子を一人にして良いものか真剣に悩んだ。

手を離したら、今にも壊れてしまいそうだと感じていた。
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