重い想われ 降り振られ
真理子は雨の中、にっこりと笑った。

「大丈夫です。本当に・・・。今夜はゆっくり休みます。」

濡れた真理子の笑顔が痛く、小林の胸に突き刺さった。

真理子は振り返らず、アパートに戻っていった。

不安を抱えつつ、小林は車を発進させた。

真理子は部屋に戻り、シャワーを浴びた後着替えを済ませ、すぐにまた部屋を出た。

タクシーで病院まで戻ってきたのだ。

橘の病室では、遠藤が一人でベット脇のイスに座りウトウトとしていた。

真理子が遠藤の肩を叩くと、すぐに目を覚ました。

「あれ、香田さん?戻ってきちゃったの。」

真理子は頷く。

「お姉さんはまだ戻ってきてないんですか?」

「うん。まだ戻ってきてないね。松田もさっき帰ったところだし。」

「なら遠藤さんも帰っていいですよ。お姉さんが戻ってくるまで、
私が付いてますから。」

睡魔に襲われていた遠藤は「助かるよ。」と真理子と交代した。
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