重い想われ 降り振られ
激しい雨が、病室の窓ガラスにぶつかり流れ落ちる。

橘の手を握ったまま、真理子は眠っていた。

コンコンと病室のドアがノックされ、目を覚ました。

真理子は濡れた頬を拭い、慌てて返事をした。

静華が病室に入ってきた。

「あら、あなた戻ってきてたの?」

真理子は頷き、遠藤と松田が帰った事を告げた。

「えっとあなた、名前は香田さんだっけ?優斗の彼女さん?」

真理子は少し戸惑いながら頷いた。

「そう・・・。」

静華は納得した。

橘の着替えなどを持ってきたらしく、荷物を棚にしまいながら真理子に話かけた。

「優斗もやっと彼女を作ったのねぇ。マンションに訪れた時、今日は困るって
珍しく焦って言うから何かあるとは思ってたけど、優斗と約束してたのね。」

静華は眠っている橘の頬を軽くつついた。

「いつまでも彼女作らずにフラフラしていた天罰ね、きっと。」
< 195 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop