重い想われ 降り振られ
静華は橘の頬をつついていた指で、そのまま頬をパチンと弾いた。

橘が少し顔を歪めた気がした。

「本当、不器用なクセに決めたら意地でも貫き通す頑固者で、そうゆうところは
父親ゆずりなんだから。コイツの彼女なんてやってると、
泣かされてばっかりでしょ?」

静華に言われ、真理子は苦笑いをする。

「あの子・・・恵子ちゃんだっけ?2~3度しか会った事ないけど、
あの子も相当優斗に尽くしてたからね、気持ちは分かるのよ。
その気が無いなら、ちゃんと距離を取る事も優しさだって忠告しといたのにねぇ。」

静華は「馬鹿な子ね。」と付け加えた。

「さぁもう遅いし、あなたもそろそろ帰りなさい。」

静華が真理子に言う。

「でもお姉さん一人で大丈夫ですか?」

「朝には母がこっちに来るって言ってたし平気よ。あなたは少し休みなさい。」

真理子は静華の好意を素直に受ける事にした。

病院を出て、暗い夜道を歩いた。
< 196 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop