重い想われ 降り振られ
「失礼します。」

真理子は言われた通りにソファーに腰掛けた。

「君が香田んとこの娘だな。」

まじまじと社長は真理子を見る。

向かいの席に座り、煙草に火を付けた。

「この仕事に付いてそろそろ一年か・・・。仕事はもう慣れたのかね?」

社長に言われ、真理子は素直に答えた。

「まだまだ失敗する事もありますが、少しづつ慣れてきたとは思います。」

社長は頷き、煙を吐く。

「この仕事は続けられそうか?」

真理子は疑問に思った。

続けられるとか言う問題では無く、借金を返すまで辞められないのでは無いのかと。

「あの・・・続けられるかどうかと言うよりも・・・。」

真理子は言葉を濁す。

社長は頷き、再び煙を吐く。

「親父の事だろう。解っている。」
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