重い想われ 降り振られ
不安に押しつぶされそうになりながら、真理子は幸治を待った。

30分ほど待たされただろうか、ようやく客室のドアが開かれた。

ずかずかと幸治は部屋に入り、和室のテーブルの前に座った。

「お茶ぐらい入れろよ。」

言われて真理子は急いで備え付けのお茶を準備した。

湯のみ茶碗を差し出すと、幸治は真理子を睨みつける。

「違う!冷蔵庫の中の冷たいお茶が飲みたいんだって!」

真理子は少しムっとしながらも、黙って冷蔵庫からお茶のペットボトルとグラスを
差し出した。

「開けてグラスに注げよ。」

幸治はニヤニヤと真理子に言った。

真理子は幸治の隣に移動すると、ペットボトルを取りグラスに注ごうとする。

伸ばした手を掴み、幸治は真理子を引き寄せた。

幸治は顔を寄せ、真理子に言う。

「あんた、俺と結婚する気あんの?」

幸治の顔に生えかけた髭が、真理子には気持ち悪く映る。
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