重い想われ 降り振られ
真理子の中で、小林の存在は徐々に大きくなってきている。

だが真理子にはまだ、それが現実に起こっている事と実感できずにいた。

まだ心のどこかで、からかわれているだけなんだと言う思いと
小林がそんな人では無いと言う気持ちが葛藤していた。

背も高く穏やかで優しくて気もきく、どんな人にも分け隔てなく接する小林は
彼氏にしたら、パーフェクトな男性なのだろう。

恋する事を忘れていた真理子に、再び恋する気持ちを思い出させた。

それでも真理子にとって、現実は辛かった。

街を歩けば周りの目線が痛いし、女性扱いされた事など無い。

洋服を買いに行っても、真理子が着れる服のサイズなど普通の店には無いし
靴を選んでも、真理子の履ける靴なんてめったに無い。

就活していた頃も、確実に面接で落とされてきた。

真理子よりも学歴も無く、礼儀もないような女性が、
美人だと言う理由で、あっさりと受かっているのを何度も見てきていた。

世の中は、ブスやデブには辛い世界なのだ。

辛い思いをするたびに、真理子の心は固く閉ざされていった。
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