重い想われ 降り振られ
「だから寝てろって。」

真理子を布団に戻し、橘が小林のところに向かった。

菜奈も橘の後を追う。

三人が仲良さげに話をしているのが見える。

ときどき菜奈がやってきては、物の所在を聞いてきた。

菜奈が食器を出してきたり、テーブルの上を片づけたりする。

橘は暇になったらしく、本棚から勝手に漫画を持ち出して読みだした。

自分以外の人の気配に心地よさを感じ、真理子はウトウトとしていた。

菜奈が「できたよ~。」と戻ってきた。

真理子が起き上がるのを待って、小林がトレーを膝の上に載せてくれた。

「熱いから気をつけて食べてね。」

小林はキッチンに戻って、菜奈や橘の分も運んでくる。

細かく刻んだ野菜のたっぷり入った雑炊は、出汁がよく効いていて
今の真理子にもおいしく感じられた。

橘が「今日のはちょっと、味うすくねぇ?」と文句を言っていたが

小林は「病人仕様ですから。」と笑って答えていた。
< 45 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop