重い想われ 降り振られ
『この辺りに、営業先なんてあったっけ?』

小林の事だろう無理してお昼を届けてくれたに違いないと、真理子は気付いた。

後片付けをしながら、キッチンのゴミ箱を開ける。

プリンのカップがチラリと見えた。

『私はここまでしてもらえるほどの人間じゃないのに・・・。』

橘との一夜を思い出して、ぎゅっと胸が締め付けられる。

橘が真理子の前に現れる度に、あの晩の出来事がフラッシュバックする。

「もぅ忘れたいのに・・・。」

布団をがばっと被り、真理子はベットに横になった。

そのまま夕方まで眠った。

シャワーを浴びた後おにぎりを食べていると、再び玄関チャイムが鳴った。

覗き窓から確認すると、橘だった。

『ホントに来たよ・・・この人。』

昨夜の事もあり無下に追い返すわけにもいかず、渋々ドアを開けた。

「調子いいからって油断すんなよ。またぶり返したらどうすんだ。」

橘は部屋に上がって、どざっとコンビニのレジ袋をテーブルに置いた。
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