重い想われ 降り振られ
「また、こんな大量に・・・。もぅ平気ですから。」

真理子は「受け取れない。」と告げると、橘は見るからに不機嫌になった。

「病人は黙って受け取ればいい。」

真理子をベットに無理やり押し倒した。

抵抗する真理子の手を押さえ、強引にキスをする。

「風邪なんて、とっとと俺にでも移して早く治せ。」

橘が囁く。

そのままぎゅっと真理子を抱き寄せた。

固い胸板に押し込まれ、真理子の心臓はドキドキと波打つ。

再び熱が出そうなほどに、体温が上がるのが解る。

『この気持ちはなんだろう?
忘れたかったのに忘れられない。嫌いなのに嫌いになれない。
どうしてだろう?この腕の中が、心地よく思ってしまうのは・・・。』

橘はそのまましばらく真理子を抱きしめた後、静かに腕を離した。

真理子の顔を優しくなで、部屋を出て行った。

『胸が、苦しい・・・。』
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