重い想われ 降り振られ
朝、いつもの時間に真理子が出社してきた。

デスクに座る真理子に、菜奈は何事もなかったかのように話しかけた。

「風邪、もぅ平気なの?」

「心配かけてごめんね。もぅ平気だから、今日もがんばって仕事しよっ。」

菜奈は、なんとか普段通りに笑顔を返した。

だが、内心は穏やかでは無い。

いつから橘は、真理子を想うようになったのか?

真理子のどこを気に入ったのか?

真理子は橘の事を、どう思っているのか?

考えたらきりが無いほど、菜奈は思い悩んでいた。

泣きだしてしまいそうになりながらも、必死に堪えた。

握った菜奈の携帯には、メッセージの着信ランプが灯る。

表示された名前を見て、菜奈は携帯を投げ出したい衝動に駆られるが、
メッセージを確認しないまま、携帯の電源を切った。

『こんな時にまで・・・。本当、ウザイ!』

携帯を鞄の奥に閉まって、仕事を始めた。
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