重い想われ 降り振られ
お昼時間の食堂のいつもの場所で、
橘は今日も松田のくだらない話を聞き流していた。

社食のランチも食べ終えて、辺りを見回すと真理子がいた。

奥の席で菜奈と昼食を取っている。

最近の橘は、会社では無意識に真理子を探すクセが付いた。

隣の席に座る小林も食事を終えたようで、箸をトレーに置いた。

松田の話を遮って、話だす。

「松田も遠藤も、前に言ってた“賭け”の話覚えてる?」

松田はニヤニヤしながら答えた。

「あの“でか女”を、誰が一番に落とすかってやつだろ?」

小林は少し眉をひそめ、松田を軽く目で征した。

「本気でそんな事するつもりは無かっただろうけど、
念のために、はっきりとしときたいんだ。
あの“賭け”は、誰も参加しなかった。誰もする気は無かった。
あの大人気ない“賭け”は、ふざけて言っただけの話って事でいいよね。」

気まずそうに松田は黙った。
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